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■ 真空管の増幅回路

コンデンサ出力の増幅回路
トランス出力の増幅回路
SRPP回路
プッシュプル回路【新】
位相反転回路【新】

■ コンデンサ出力の増幅回路

3極管、5極管、5極管の3極管接続(3結)のコンデンサ出力増幅回路です。
説明図は、自己バイアスにしてあります。
 
tubeamp1.gif
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真空管の3定数、増幅率をμ、相互コンダクタンスをgm、内部抵抗をrpとすると、
 
・ゲイン A=−μRp/(rp+Rp)=−gmrpRp/(rp+Rp)
 
・入力インピーダンス ZIN=Rg
 
・出力インピーダンス ZOUT=rp//Rp (rpとRpを並列にした抵抗値)
 
(真空管の3定数の関係 μ=gm・rp
 

■ トランス出力の増幅回路

3極管(傍熱管)、直熱3極管、5極管、5極管の3極管接続(3結)のトランス出力増幅回路です。
説明図は、自己バイアスにしてあります。
 
tubeamp4.gif
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真空管の3定数、増幅率をμ、相互コンダクタンスをgm、内部抵抗をrpとし、トランスの巻数比をn:1とすると、
 
・ゲイン A=μRp/n(rp+Rp)=gmrpRp/n(rp+Rp)
 
・入力インピーダンス ZIN=Rg
 
・出力インピーダンス(トランス2次側) ZOUT=rp/n2 (真空管の内部抵抗の1/n2
 
(真空管の3定数の関係 μ=gm・rp
 
(トランスの1次側からみた抵抗 Rp=n2・RL
 

■ SRPP回路

信号増幅用に使われる、3極管(傍熱管)のSRPP回路です。
出力インピーダンスが低く(単管増幅回路の約1/2)、歪み(2次歪みが主体)が少ないので、プリアンプの出力段やシングルパワーアンプのドライブ段にも適しています。
 
srpp1.gif


通常、双3極管を使った左図の回路で Rk1=Rk2 として用いられます。
また、Rk1<Rk2 として、出力−歪み率の特性を調整することができます。

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左図のように、Rk1=Rk2 とし、Rを追加して歪みを減らすことができます。

 
V2 側のカソード電位がB電源電圧の1/2になるため、ヒーター・カソード間耐圧に注意します。 通常は、ヒーターにバイアス電圧を加えて使用します。
 

■ プッシュプル回路

真空管アンプでは、出力段の基本はシングル回路です。
tube_s.gif

左図は3極管を使ったシングル回路です。
 出力トランスの1次側に、B電源からプレート方向の直流電流が流れるため、直流磁化が起こります。 シングル用のトランスは、コアにギャップを設けた構造でこれに対応しているため、インダクタンスが小さくなっています。 低域の再生には、十分なコアボリュームが必要となり、大型で重いトランスが必須となります。
 
プッシュプル回路は、シングル回路では難しい、大出力、低歪み、十分な低域再生ができることが特徴です。
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左図は3極管を使ったプッシュプル回路です。
 2つの増幅回路にそれぞれ正相と逆相の信号を入力し、出力トランスの1次側で合成します。 出力トランス1次側の2つの巻線に、B電源からプレート方向の直流電流が流れますが、コアを磁化する方向が逆のため打消し合い、直流磁化が起こりません。 プッシュプル用のトランスは、インダクタンスが大きく、低域の再生に有利になります。 また、偶数次の歪みが打消されて、低歪みのアンプとなります。
(参考:同じコアボリュームのトランスで、プッシュプルはシングルの5〜10倍のインダクタンスがあります)
 
プッシュプル回路の出力トランスを、シングル用のトランス2個に置き換えると、バランスド・シングル回路になります。 シングルの2倍の出力と低歪みが特徴です。
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左図は3極管を使ったバランスド・シングル回路です。
 半導体アンプのBTL接続と同様です。 シングルアンプ2台の出力を単に直列に接続する場合と異なり、偶数次の歪みが打消されて、低歪みのアンプとなります。 8Ωのスピーカーを接続するときは、2つの出力トランスの4Ω端子を使用します。
 
また、バランスド・シングル回路の2次側を、並列に接続することもできます。
tube_bs2.gif

この接続では、出力インピーダンスを小さくできるので、4Ωのスピーカー等の駆動も楽になります。
 

■ 位相反転回路

プッシュプル回路には、正相と逆相の2つの信号を入力する必要があります。 位相反転回路は、1つの信号を入力し、正相と逆相の信号を取り出すものです。
 
<P−K分割回路>
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左図は、前段と直結にした回路です。 R1=R2 として、プレート側とカソード側から、同振幅で180°位相の違う信号が取り出せます。

 
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左図は、前段とコンデンサで結合した回路です。 直結にした場合よりも、動作点の設定自由度が大きくなりますが、低域の時定数が1つ増えることになります。

 
<カソード結合回路>
mullard.gif

左図は、マラード型/ムラード型と呼ばれる回路です。 通常、前段と直結にします。 V1とV2のグリッドを結ぶ抵抗は 1MΩ 程度、V2のグリッドとGND間のコンデンサは 0.47μF 程度が用いられます。 V1とV2のカソードを接続し、共通カソード抵抗をGNDに接続します。 動作は差動増幅回路に準じたものとなり、V1とV2のプレートから、同振幅で180°位相の違う信号が取り出せます。 V1側とV2側の出力に若干の出力差が生じるため、通常R2>R1として調整します。

 
<差動増幅回路>
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左図は、差動増幅回路です。 V1とV2のカソードを接続し、定電流回路に接続します。 この増幅段をNFBアンプの初段とするときは、V2のグリッドに帰還します。 そうしないときは、V2のグリッドを接地します。 通常、R1=R2とします。

 
<自己平衡回路>
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左図は、自己平衡型(オートバランス型)と呼ばれる回路です。 通常、R1=R2、R3=R4、R5=R6とします。 V1側が無帰還の増幅回路で、V2側が単段のNFB増幅段となることから、出力インピーダンスや周波数特性にアンバランスが生じます。

 
<トランスによる回路>
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左図は、トランスによる位相反転回路です。 R1とR2は、主に高域の特性を改善するために付加します。

 

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